耳の周囲にある耳下腺部が腫れておたふくの顔のようになることから名づけられたおたふく風邪。正式名を流行性耳下腺炎といい、主に子どもがかかりやすい病気の一種です。
おたふくは大人になってからかかると重症化しやすく、入院する可能性もあるとされていますが、私は保育士として働いていた(20代前半)時に、クラスの子どもからウイルスをおもらい、感染してしまいました。
今回はおたふく風邪についてと、感染した時の体験についてまとめました。
この記事のもくじ
おたふく風邪について
どんな病気なの?
ムンプスウイルスというウイルスによる病気です。
・飛沫感染(会話やくしゃみ、咳などで空気中にウイルスが飛び、それを吸い込むことで感染)
・接触感染(ウイルスがついた物や感染者と直接触れ合うことによって感染)
これらのルートにより、人から人へ感染していきます。
一般的な症状について
潜伏期間が2~3週間あり、保菌期間も感染する可能性があります。
・38℃以上の高い発熱
・耳下腺(耳の下辺り)の腫れ・痛み
その他、頭痛や倦怠感も伴う場合もあります。
顔の腫れのピークはだいたい発症後3~5日目くらいで、1週間~10日前後で次第に治まっていきます。
子どもの出席停止期間は?
学校保健安全法施行規定によると、
耳下腺、顎下腺又は舌下線の膨脹が始まった後五日を経過し、かつ、全身状態が良好となるまで
とされています。インフルエンザのように、解熱後3日というような具体的な規定はないようです。
妊婦さんでも予防接種は可能?
生ワクチンは接種できない
予防接種も、100%安全だとは言い切れないそうです。しかし、有効性が危険性を上回ると判断された場合には、接種可能となります。つまり、病気にかかると胎児への影響が心配される病気については、打つことをすすめているということですね。
ワクチンには2種類あり、「不活性化ワクチン」と「生ワクチン」があります。
「不活性化ワクチン」は、細菌やウイルスを殺して毒性をなくし、抵抗力(免疫力)をつけるために必要な成分のみを取り出して、ワクチン化したものです。毒性が少なく副作用も少ないので、妊娠中でも医師の判断によりますが、おおむね接種が可能とされています。
しかし、生み出される免疫力が弱いため、何回かに分けて接種する必要があります。
・インフルエンザ
・B型肝炎
例えばインフルエンザの場合は、かかった場合の特効薬であるタミフルやリレンザの方が、妊婦への安全性がはっきり確認されていないということから、予防接種を勧められる傾向にあります。
一方「生ワクチン」は、弱められた毒性を入れることで、細菌やウイルスが体内で増殖しながら免疫を高めていきます。接種回数は少なくてすみ、免疫が長く保持できる反面、副作用が強いので、妊婦への接種は禁忌とされています。
・はしか
・風疹
・おたふく風邪
妊娠中はおたふく風邪の予防接種は打てない
おたふく風邪の予防注射は生ワクチンであることから、接種が不可能となっています。同居する家族には予防接種を打ってもらったり、人込みにはなるべくいかないようにしたりして、感染しないようにくれぐれも注意しましょう。
おたふく闘病記
発症~仕事早退
「なんだか顎が痛いなぁ。顎が外れてるんかな?」
最初に感じたことはこの程度のことでした。
出勤して職場で鏡を見たら、「あれ?痛いだけじゃなくて、なんとなーく腫れてる?気のせい?」
クラス内に二人おたふくで休んでいる子がいたので、まさかと思いながら、園長先生や他の先生たちに、「なんか顔腫れてますか?」と聞いてみると、「んー。腫れていると言われれば腫れている気がする!」と言われ、クラスでおたふく感染者がいたことから、その日は急遽早退して病院に行くことになりました。
病院で受診!しかし…
その時点では熱もなく、腫れてるというほどでもなかったのですが、仕事柄受診して医師に判断してもらう必要があったので、病院へ行きました。
「普段の顔を知らないから、腫れているのかわからないね」
「熱もないし、今のところ何とも言えません」
「今晩腫れてきたら、おたふく風邪なので、明日また病院に来てください」
と言われ、その日はとりあえず帰宅。顎や耳の下あたりがジンジン痛いと思いながら過ごし、帰宅して2時間ほど経って鏡を見ると、顔がパンパンに!!20キロくらい太ったような顔になっていました。
再度病院へ行き、薬をもらう
「あらー!結構腫れたね。おたふくだね」と、一気に腫れあがった顔を見て驚いた様子でした。
というのも、おたふく風邪といっても片側しか腫れない人や、耳下腺しか腫れない人など、いろいろな腫れ方があるそうなのですが、私は左右の耳下腺と顎下腺の全てが一気に腫れたので、先生の中では「ここまで腫れる人は少ない」というくらい腫れていたそうです。
おたふく風邪には特効薬がなく、対症療法ということで、痛みを和らげる鎮痛剤のみ処方されました。病院から帰るころにはパンパンに腫れて別人の顔になっていました。
痛すぎて鎮痛剤を飲みまくる
腫れたところがとにかく痛くて、その日の晩から寝たきり生活が始まりました。痛すぎて口が開かないので、何も話せないし、食事もできませんでした。両親とは筆談で会話し、ストローでポカリスエットを飲むだけ。小さな薬ですら、痛さで口が開かないので、なかなか飲めませんでした。
症状は日に日に悪化
話せない、食べられない、お風呂に入れない、トイレにだけは這いつくばってなんとか行くという辛い辛い寝たきり生活が続きます。24時間猛烈に痛くて、ずっと鼓膜が破れそうでした。意識ももうろうとしていました。ネットで、「おたふく 腫れ 期間」などと検索していろいろなサイトを調べると、どうやら3~5日がピークで、1週間~10日ほどでよくなっていくということがわかり、「今日がピーク」「良くなっていくはず」と言い聞かせて耐えていました。
なのに、1週間ほどたっても、腫れはまったく治まる様子がなく、相変わらず猛烈な痛みに襲われます。だんだん怖くなってきて、ネットで調べていると、「難聴」という言葉が出てきました。重症化した場合難聴になる可能性があり、なった場合はもう治らないという内容でした。治ると信じるしかありませんでしたが、あの時の不安と恐怖と痛みは今でも忘れられません。
結果的に2週間後に復活
長引いていた腫れも10日すぎると腫れが引き始め、2週間ほどでようやく元の顔に戻りました。10日ぶりに入ったお風呂が本当に気持ちよくて幸せだったことを今でも覚えています。
寝たきり生活で感じたのは、
仕事にいける有り難さ
お風呂に入れる、ご飯が食べられる、歩ける、などのごくごく当たり前のことができる幸せ
ということをひしひしと感じました。
さいごに
おたふく風邪は、大人になってかかると本当に恐ろしい病気です。この体験は今から4~5年前の話なのですが、今でも、痛さや辛さを鮮明に思い出します。予防注射は任意で、料金も病院によって違いますが、だいたい5000~8000円くらいと高めなので、あまり打つ人はいないそうです。
しかし、大人になってからかかると重症化すること。女性であれば、妊娠中は予防接種が打てないので、万が一かかった場合は胎児に影響することなど、リスクがたくさんあります。
金額は高いですが、迷わず予防注射をうって下さい。子どもがかかってもそこまで重症化することは少ないそうですが、合併症の可能性もありますし、集団生活の中ではいろいろな病気をもらいます。1歳の誕生日以降から予防注射が打てるので、早いうちに打っておくことをおすすめします。
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